公益社団法人化後初の「平成25年新春交流会」を開く
古川会長、「日本を代表する協会と業界づくりにまい進したい」とアピール
2013年2月
協会は、公益社団法人化後初となる平成25年「新春交流会」を1月25日午後1時から、横浜市・パンパシフィック横浜ベイホテル東急で開催しました。行政、政界、関係団体との交流や連携を深める目的で平成23年から行っており、今年で3回目。席上、古川会長は「公益社団法人の認定が受けられたのは、長年にわたり公益性のある事業に取り組んできたことが評価されたものと理解しています。今後とも皆様方のご指導ご協力をいただきながら、自分たちの商売だけでなく、地域の皆様方とともに繁栄を目指す、日本を代表するような協会と業界づくりにまい進したい」とアピールしました。
経済産業省から福田室長、小島企画官も出席
今年の新春交流会には、県から古尾谷光男副知事、県議会から竹内英明議長をはじめとした多数の県議会議員と国会議員、さらに関係団体、消費者団体の代表者にご臨席いただいたほか、今年は中央行政から福田敦史ガス安全室長(経済産業省商務流通保安グループ)と小島暢夫企画官(資源エネルギー庁石油流通課)にもご出席いただきました。
高橋副会長の司会により、杉岡副会長が「開式の辞」を述べたあと、古川会長と牧野、杉岡、高橋、橋本、宇佐美副会長が登壇。代表して古川会長が「主催者あいさつ」(別稿)を述べました。
支部長 このあと、県を代表して古尾谷副知事(同)、県議会を代表して竹内議長(同)、中央行政を代表して福田室長(同)より「来賓あいさつ」をいただき、(株)神奈川エルピーガス保安センターの重田照夫代表取締役社長の発声で乾杯。各地区・支部ごとに設けられたテーブルを中心に、交流と歓談を深めていただきました。
その間、ご出席いただいた来賓、県会議員、国会議員を一人ひとりを紹介する一方、各支部長による近況報告や決意表明も行っていただきました。牧野副会長による「中締め」で閉会しました。
重田社長と牧野副会長、「公益社団法人化の実を高めよう」と呼びかけ
席上、重田社長は「公益社団法人を取得したからには、自分たちがつくった倫理綱領を尊重し、自主行動基準にそって活動することが求められます。県内では依然として、行儀の良くない、消費者に迷惑がかかるような行為(悪質な切替勧誘)が見られますが、皆様方からもご忠告ご注意をしていただれば、と願っています」と訴え、牧野副会長は「各支部長より意欲的に活動していただいていることが報告され、非常に心強く感じました。全会員一丸となって、公益社団法人の名に恥じない事業活動を展開し、さらに評価を高めていきましょう」と呼びかけました。
●主催者あいさつ 古川武法会長
自分の商売だけでなく、地域の皆様とともに繁栄を目指そう
全国47都道府県の中で、当協会が唯一公益社団法人を取得できたのは、長年にわたって公益性のある事業に取り組んできたことが評価された結果です。これを新たな出発点とし、さらに地域に密着した業界づくり、また公益性の高い事業を推進していきたいと考えています。
昨年12月に、経済産業省や県からもご出席いただいて消費者団体と懇談する機会がありましたが、この中で「最近のLPガス業界は一所懸命にやっているね」と評価をいただく一方、「いまだに悪徳ブローカーを使って勧誘し、消費者に迷惑をかけている事例がある。業界の自助努力が足りないのではないか」とも指摘を受けました。今年はさらに深く追求し、そうしたことのないよう徹底を期したいと思っています。
また同じ10月には、LPガス容器を積載したトラックが中央高速道で横転し、容器が150m離れた小学校のグラウンドに落ちる事故が起きました。委託であろうとなかろうと、我々が扱っているのは危険物であるとの認識を持ち、事故防止策を徹底していただきたいと思っています。
3.11の大震災のあと、LPガスの優位性が評価され、いまフォローの風が吹いています。だからこそ、ここで改めて地域防災と安全安心に取り組み、LPガスに向けられた期待に応えていかねばならないと思っています。神奈川県と協定を結んでスタートさせた「見守り活動」も徹底し、孤立死、孤独死を一人でもなくしていきたいと考えています。
私たちは地域に根ざした商売をしています。だから、自分の商売だけでなく、地域の皆様方とともに繁栄を目指したいと念じています。先生方にもご指導ご支援をいただきながら、日本を代表するような素晴らしい協会と業界づくりにまい進したいと思っています。
●来賓祝辞 古尾谷光男副知事
地域防災でも改めてLPガスの役割発揮を
協会は3年間にわたる審査を受け、昨年4月に公益社団法人に認定をされました。全国の協会の中で初めての、全国に誇れるケースです。これは、防災訓練への協力、孤独死をなくす取り組み、あるいは1987年から続いている神奈川トラストみどり基金の寄付など、様々な公益活動の積み重ねが、認定を勝ち取ることにつながったのだと思います。
県では平成25年度から、コンビナート防災や地域防災をさらに強力に進めたいと思っていますが、この中では地域におけるエネルギーの役割が改めて問われています。LPガスについても行政に対する、あるいは県民の安全に対する一層のご協力をお願いする次第です。
●来賓祝辞 竹内英明県議会議長
適正を欠いた競争で混乱を招くようでは本末転倒
東日本大震災では、協会の皆さんの取り組みがどれだけ被災地を勇気づけたか、言うまでもありません。本県においても災害協定、防災訓練などさまざまな形でご支援をいただいていることに感謝申し上げるとともに、公益社団法人としてのこれからの活躍を期待しています。
平成9年に液石法の規制緩和があったわけですが、適正を欠いた競争により消費者に混乱を招くようでは本末転倒です。何よりも消費者の皆さんに喜んでいただく、そして安心と安全を確保できるよう、今後ともご尽力願いたいと思っています。
県民が安心して安全にガスエネルギーを利用できるよう、私たちもそれぞれの立場で応援していきますので、私たちにも今後一層のご指導をお願い申し上げます。
●来賓祝辞
経済産業省 商務情報政策局商務流通保安グループガス安全室 福田敦史室長
協会はCO中毒・移動中の事故防止を率先推進
新政権下のエネルギー政策でも、電力・原子力問題をどう解決していくかという課題がありますが、一方ではかつてなかったほど、LPガスを含むガス体エネルギーが注目されています。震災での復興もさることながら、その後の基盤エネルギーとしてもどう活用するか。現在、資源エネルギー庁が中心となっていろんな計画を進めており、今回の補正予算でも中核充てん所の整備の加速も盛り込まれたところです。
私の担当である保安面では、平成24年の事故数は残念ながら250件前後へと増えそうです。死傷者は大幅に増えもしないが、減ってもいません。ガスにとって一番弱いCO中毒事故、そして移動中の事故防止に大胆、かつ確実に推進していただいているのが、この神奈川県協会ではいかと思います。
全L協、需要開発3カ年運動の骨格を固める
目標はエネファーム2万台、エコジョーズ340万台
2013年1月
(一社)全国LPガス協会は、平成25年度から3カ年計画で進める「需要開発推進運動」の骨格を固めました。運動は「進化するLPガス」「究極のライフライン」「人を育むLPガス」の3分野で構成し、3年後の到達目標としてエネファーム2万台、エコジョーズ340万台を掲げています。 6月6日開催の通常総会で決起大会を開き、本格的にスタートさせます。
需要開発推進運動のポイント
進化するLPガス
給湯機器の販売を強化する。普及対象機器はエネファーム(+エコウィル)、エコジョーズ、ハイブリッド給湯器。
究極のライフライン
公共施設へのLPガス設備機器の設置を促進する。普及対象機器は災害対応バルク、LPG車、緊急時対応機器(LPガス発電機、炊き出しセット)、常時使用機器(給湯器、GHP、ガスファンヒーター)。
人を育むLPガス
火育や食育を通して人と食の文化を子どもたちに伝える。普及対象機器はSiセンサーコンロ、ガス炊飯器。
平成24年度補正予算で、災害バルクなど3施策固まる
2013年1月
安倍政権の誕生にともなう平成24年度補正予算で、LPガス関係では、災害対応力の強化に向けた3施策が固まるとともに、中核充てん所の整備も加速することになりました。
新たに予算化されたのは、【1】災害対策バルク補助金(中小企業1/3補助、大手企業1/2補助)=7.5億円、【2】LPG車補助金(改造費の1/2補助)=2.5億円、【3】充てん所貯槽の耐震化補助金(2/3)=2.2億円。中核充てん所の整備(2/3補助)に向けては66.8億円を計上し、33府県で一気に260カ所程度を整備。全都道府県で計360カ所程度の整備を終えることになりました。
日協予測、世界のLPG生産は“供給過多”へ
シェールガス随伴増で、2.7億トンに増加か
2012年12月
日本LPガス協会は、2012年12月に行った会見で、世界のLPガス生産は天然ガス随伴分の増加に加え、シェールガス随伴分が増えてくるので、供給過多に向かっているとの見方を明らかにしました。
2005年のLPガス生産量は2.2億トンでしたが、2010年には原油随伴5,000万トン、石油精製1億1,000万トン、天然ガス随伴9,000万トンの計2.5億トンへと増加。さらに、米国でのシェールガス随伴が2011年の500万トンから2015年800万トン、2030年1,500万トンに増え、米国がLPガス純輸出国になってくることを受け、2015年の世界のLPガス生産量は2.7億トンに増えると見ています。
需要はアジアなどで増えるものの、全体としては供給過多に向かっており、この結果、LPガス国際市況は今後下降基調となり、相対的にLPガスの価格競争力が回復すると予測しています。
2012年サウジCP、3年連続で上昇
プロパンはt1,000ドル突破5カ月も
2012年12月
2012年のサウジアラビアCP(輸入FOB価格)はトンあたりプロパン(P)が平均914.6ドル、ブタン(B)が同917.9ドルとなり、前年に比べそれぞれ85.8ドル(13.2%)、47.1ドル(5.4%)上昇しました。P、Bともに上昇は3年連続ですが、2012年は特に、3月にP1,230ドル、B1,180ドルと最高値を更新したほか、1,000ドル超がPは5カ月、Bは2カ月ありました。
これに対し、LPガス10m3小売価格は2011年10月の6,643円に対し2012年10月は6,747円で、104円(1.6%)の上昇にとどまっています。
協会、会員事業者に向け、異例の「声明」で徹底を要請
LPガス移動時の安全確保と、訪販業者への勧誘委託の自粛を
2012年11月
協会が発表した声明文は、「LPガス等の高圧ガス移動時における安全の確保について」と、「訪問販売業者への顧客勧誘業務の委託自粛について」の2つです。前者はLPガスの安全・安心、後者はLPガス業界への信頼にかかわる、極めて重要な課題であることを自覚し、徹底を期すよう求める内容となっています。
LPガス移動時の安全確保を徹底していただきたい
○LPガス等の高圧ガス移動時における安全の確保について
LPガス容器の配送時の事故は、平成22年12月に栃木県内で発生しているほか、県内でも今年に入ってから3件発生している。なかでも4月に起きた横浜市内での事故では容器が11本落下し、うち3本からLPガスが漏れた。このため、神奈川県より「高圧ガスの移動中における容器の転倒・転落防止に係る注意喚起」について要請を受けている。
協会では、例年「高圧ガスバラ積容器運送車両自主点検」を行って事故防止に努めてきているが、これらの事故を受けて急きょ、8月に容器交換作業員を対象とした「注意喚起のための講習会」を行った。
高圧ガス事故は、常に重大事故につながる可能性があることを認識し、実効性のある質の高い保安管理を行う必要がある。配送業務を委託している場合は、委託、受託事業者双方に事故の未然防止責務がある。
会員事業者においては、高圧ガス保安法、道路交通法などの各種法令と基準、規定類を遵守し、常に自主保安意識を持って安全の確保に努め、事故の未然防止に取り組んでいただきたい。
訪問勧誘業者への顧客勧誘委託は自粛していただきたい
○「訪問販売業者への顧客勧誘業務の委託自粛について
訪問販売業者への顧客勧誘業務に関しては、埼玉県内で昨年、訪問販売業者の社員が特定商取引法違反で検挙される事態が発生している。
協会では取引の適正化による消費者利益の保護など公共の福祉の増進に努めているものの、当県においても、訪問販売業者による不適正な勧誘に関する消費者相談は減少する兆しがない。逮捕事例が出るような事態を迎えると、業界に対する消費者の支持が一挙に失われかねない。
会員企業においては、訪問販売業者に新規顧客開拓業務を委託することを自粛するよう徹底していただきたい。
詳細はこちら
→PDF「LPガス等の高圧ガス移動時における安全の確保について」
→PDF「訪問販売業者への顧客勧誘業務の委託自粛について」
→PDF「声明文に関する会長コメント」
平成23年度末の販売事業者は21,518者【保安院訂正】
2012年11月
原子力安全・保安院は、先に公表した平成23年度末の販売事業者数と保安機関数を次のように訂正しました。
○販売事業者数
総数:21,518者、所管別:本省51者、保安監督部197者、知事21,270者
前年度末比(総数:529者減、所管別:本省1者減、保安監督部1者増、知事529者減)
○保安機関数
総数:22,062者、所管別:本省83者、保安監督部514者、知事21,465者
前年度末比(総数:451者減、所管別:本省3増、保安監督部7者減、知事447者減)
LPガス部門の経常損益率、全体の7割が減少
2012年11月
(財)エルピーガス振興センターが行った2011年度「石油ガス販売業経営実態調査」(資源エネルギー庁委託事業)によれば、販売店経営は厳しさを増しています。
○LPガス部門経常損益率
「0%以上10%未満」が事業者全体の過半数(54.4%)あり、次いで「10%以上20%未満」が18.2%。一方で「0%未満」(マイナス)が14.2%あった。67.3%の事業者が前年度より「減少」し、「変化なし」は18.8%、「増加」は13.9%。
○将来に向けた展望
過去5年間の変化を聞くと、「建て替え時のオール電化」が85.0%、「少子高齢化による顧客の減少」が82.4%、「オール電化リフォーム」が74.5%と、オール電化などによる顧客減が脅威になっている。事業継続については72.0%の事業者が「継続」意向だが、「廃業したい」が11.0%、「わからない」が17.0%あった。
詳細はこちら
→PDF「H23年度経営実態調査」
輸入元売各社、仕切り価格を「前月・当月CP連動型」に移行へ
2012年11月
LPガス輸入元売各社は、サウジCP(輸入FOB価格)が乱高下していることから、元売仕切りの価格フォーミュラー(方式)を、「前月CP連動」から「前月・当月CP連動型」(前月CP50%+当月CP50%)に変更して、平準化を図る動きにあります。移行は2013年1月、ないし同4月からとなっています。為替や外航フレートの算出方式まで見直すケースもあります。これを受け、原料費調整制度を導入している事業者を中心に、LPガス料金制を見直す動きが進むものと見られます。
なお、元売会社によっては、すでに「前月・当月CP連動型」を採っているケースもあります。
大月市内の自動車道で容器が落下・炎上、校庭にも落下
2012年11月
10月6日午前10時45分ごろ、大月市富浜町の中央自動車道下り線で、トラックが横転し、積み荷のLPガス容器が落下し、うち6本が炎上するとともに、別の1本が南西に約250メートル離れた鳥沢小の校庭に落下する事故が起きました。
運転手を含め、けが人はありませんでしたが、事故により下り線が一時通行止めとなり、3連休初日で行楽地などに向かう人に影響が出ました。
LPガス容器を積んで移動中の車両が、相手または自分の運転ミスで交通事故を起こし、容器が落下しガスが漏れる事故は、4月に横浜市、6月に松山市で発生しています。
この大月での事故は、注意が喚起されている中で起きたうえ、跳ねた容器は子どもたちの学ぶ小学校の校庭に落下しました。容器移動中の事故は大きな災害になりかねないので、改めて安全運転と法令順守を徹底するよう求められています。
富士経済調査、「創エネ住宅」が大きく進展
エネファームが市場拡大、オール電化は減速
2012年10月
富士経済は9月20日、「住宅分野のエネルギー設備機器採用動向調査」の結果をまとめ、2020年度には太陽光発電を中心とした「創エネ住宅」が11年度比58.7万戸増の年87.0万戸へと増え、累計で594.4万戸、普及率が11.7%になるとの予測を公表しました。一方で、オール電化住宅は同8.2万戸減の年39.2万戸へと減速し、累計824.2万戸、普及率が16.2%になると見ています。さらに、ガス業界期待のエネファームは同7.2倍の1,630億円へと増え、集合住宅、既築住宅、さらに海外へと拡大して量産化が進む見込みにあるとしています。ただ、オール電化の普及率は徐々に拡大し、20年度には北陸と中国での普及率は30%を超えると予測しています。
この調査は、2012年4月~8月にかけ、全国10地域の電力会社と都市ガス会社、LPG・石油系燃料供給事業関連企業、各県LPガス協会、ハウスメーカー、家電量販店などを対象に行われました。
調査結果の概要
●オール電化住宅とダブル発電
オール電化の減速は、東日本大震災後の分散型エネルギーへの関心の高まりと、電力への供給不安、節電意識の向上を背景としている。これによりエネルギーバランスが見直され、エネファームは受注が急増。12年度も2万台以上の受注が見込まれる。
また、大手ハウスメーカーによる太陽光発電の新築設置率も上昇しており、太陽光発電とエネファームのダブル発電を採用した新築戸建住宅が増加している。
従来、太陽光発電はオール電化とのセット導入が多数を占めていたが、住宅メーカーが太陽光発電を中心とした「創エネ住宅」を志向する中で、ダブル発電が定着しつつあるもので、既築リフォーム分野でも主要ガス事業者によるエネファームやダブル発電が拡大していく動きにある。
●創エネ住宅の進展
12年度は創エネ住宅の95%が太陽光発電設置住宅になると見込まれる。現状の太陽光発電の約50%はオール電化とセット採用されている。また、創エネ住宅は新築戸建て分野の「太陽光+オール電化」と、既築戸建て分野の「太陽光発電単体設置」に二分されている。
東日本大震災後は、太陽光発電のニーズ拡大と、既築分野の電化リフォームの急減により、既築分野の「太陽光+オール電化」のセット需要が減少している。
20年度は創エネ住宅が87万戸に達する。これはオール電化住宅数39.2万戸の2倍以上であり、住宅のエネルギー設備機器はオール電化から創エネに移行する。20年度にはエネファームを中心とする家庭用CGS(エネファーム+エコウィル)の設置戸数も、11年度比で15倍以上となる35.7万戸に達し、同時期のオール電化住宅の規模まで拡大する。
●創エネ住宅の地域別普及
創エネ住宅の普及は「西高東低」で、12年度は中部より西で普及率が3~4%程度の見込み。一方、積雪地帯や日本海側、集合住宅が多い関東では1%以下~2%程度の普及率にとどまる。
20年度予測では中部、中国、四国、九州で全住宅の6戸に1戸が創エネ住宅となり、関西では家庭用CGSの普及率が5%に達し、エネファームの先進地域となるとみている。
●創エネ住宅関連機器(太陽光発電、エネファーム)の市場動向
太陽光発電は、東日本大震災の影響による電力不足や非常用電源として期待され、市場が大きく拡大した。今後も補助金の活用や余剰電力買取制度の継続で安定した市場成長が予測される。
エネファームは販売取扱事業者が増加していることに加え、本体価格の低減から普及拡大が予測される。今後数年間は補助金の動向に左右されるものの、市場は長期的に拡大し続け、20年度には1,630億円規模(11年度比7.2倍)に成長すると予測される。
●オール電化の現況
11年度はオール電化住宅の新規件数が47.3万戸と急減し、05年度以来の50万戸割れを記録した。既築分野での電化リフォームが前年度比の68%となる約19万戸まで急減したためである。
東日本大震災以降、電力各社が大々的なPR活動をやめ、オール電化を訴求する機会が大幅に減少した。関東では都市ガスエリアを中心に電化リフォーム件数が半減し、他の地域でも軒並み前年度比6~7割に減少した。
11年度後半から12年度にかけては、西日本の電力各社によるオール電化営業組織の縮小や、電化機器に対する販売奨励金の廃止などが加わり、電力需給が安定するまで回復しないと予測される。
●オール電化の今後
12年度のオール電化普及率は10.2%、511万戸と全住宅の10戸に1戸がオール電化住宅となる見込みで、戸建住宅のオール電化普及率は16%を超えると見られる。北陸が突出して高く、全住宅の4戸に1戸に達している。また西日本のオール電化普及率も15~20%程度と高水準になっている。一方、東日本と沖縄のオール電化普及率は6~7%程度にとどまったまま。
20年度のオール電化普及率予測は16.2%、824万戸で、6戸に1戸がオール電化住宅となる。10年度以降、新築住宅におけるオール電化率は年々下がるが、一定の戸数は建設され、普及率は徐々に拡大する。北陸と中国方のオール電化普及率は30%を超えると予測される。
詳細はこちら
→PDF「富士経済エネ機器動向調査」
消費者保安月間、今年度はCO中毒事故防止などを重点目標に展開
2012年10月
この10月1日(月)から、「平成24年度LPガス消費者保安月間」(経済産業省主導)がスタートしました。今年度の重点目標はCO中毒事故の防止など次の3ポイントです。
- 1.業務用消費者に対する、CO中毒事故防止、燃焼器具の適切な使用方法に重点をおいた周知。
- 2.一般消費者等に対する、LPガス販売事業者等が行っている保安業務の内容、消費機器の維持管理方法、CO中毒事故防止対策、ガスが漏えいした場合の適切な対処方法の周知。
- 3.高齢者と一人暮らしの消費者に対する、LPガス設備を安全に使用するための保安啓発を実施。
この保安月間(10月1日~31日)は、一般消費者等に対し、LPガス事故の未然防止のための保安啓発活動を集中的に実施するため、LPガス関係団体に周知により協力を要請し、消費者保安意識の向上を図ることを目的に、毎年展開されています。
その一環として、経済産業省は次のような活動を展開します。
(1)保安活動に貢献した販売事業者等の表彰式
関係団体と協力し、保安活動に貢献した販売事業者等を対象に表彰式を実施。
- 開催日・会場:10月25日(木)、東京・如水会館
- 参加人数:約250名を予定
LPガス安全委員会に、以下の事業の実施を通じた保安啓発活動の協力を要請。
- 業務用・家庭用LPガス保安ガイドの配付
- 地震時対応LPガス保安ガイドの印刷・配布及び雑誌等における保安啓発
- 安全なLPガス器具の紹介コンテンツ等の作成
- 高齢者向け雑誌等における保安啓発
- ポスターの作成・配布
- LPガス安全委員会ホームページを通じた情報提供
各都道府県、高圧ガス保安協会、LPガス関係団体に対し、消費者保安意識の高揚を図るため、各地域においてイベントやキャンペーン活動等を積極的に実施するとともに、相互に協力を行うよう要請。
(4)販売事業者等による保安啓発の要請
販売事業者等に対し、本保安月間において、消費者との接触の機会を設け、1.安全装置付き器具への交換促進、長期使用製品安全点検制度への理解促進、集中監視システムの普及促進等に努めること、また、2.LPガス販売事業者が行う保安業務の内容、消費者が行うLPガス設備の維持管理項目・方法に関する周知を行うことを目的とした各種保安活動を実施するよう、LPガス関係団体を通じ協力を要請。
ほか、経済産業省は消費者に係る事故を未然に防止する観点から、新聞と電車内広告をはじめとする各種広報媒体を通じ保安啓発活動等を実施します。
詳細はこちら
→PDF「平成24年度消費者保安月間」
保安院廃止で、LPガス保安行政は経済産業省「ガス安全室」に移管
2012年10月
原子力規制庁が8月19日に発足し、原子力安全・保安院が所管していた原子力規制行政を引き継ぎました。同時に、保安院が所管していた産業保安規制行政は経済産業省商務流通保安グループに引き継がれ、LPガスは都市ガスとともに「ガス安全室」(福田敦史室長)、高圧ガスは「高圧ガス保安室」(表尚志保室長)に移管されました。
電話・ファクス番号は保安院時と同じ(LPガス→旧・液化石油ガス保安課、都市ガス→ガス安全課、高圧ガス→保安課)。
「1店1基1台運動」は設置数が増加も低位で推移
2012年08月
一般社団法人全国LPガス協会が7月下旬にまとめた平成23年度「1店1基1台運動調査報告書」によれば、全国における期間中の設置数は、エネファームが1,731基(目標達成率19.2%)、LPG車が1,026台(同10.3%)となりました。前年度よりは増えましたが、目標達成率は低位で推移しています。
ほか、高効率機器の設置台数はエコウィルが853台、GHPが2,157台、エコジョーズが171,656台、Siセンサーコンロが566,104台。
運動は3カ年計画で進んでおり、最終年度となるこの平成24年度の奮闘が期待されています。平成25年度からは新3カ年計画「需要開発推進運動」として継続・強化していくことになっています。
エネ調・基本問題委、第30回会合で今後の重点施策案提示
LPガス、石油と一体的に論じ供給システム再構築を提言
2012年08月
東日本大震災と原発事故を踏まえた新しい「エネルギー基本計画」づくりを進めている総合資源エネルギー調査会・基本問題委員会の第30回会合(7月30日開催)に、今夏~今秋の取りまとめに向けた骨子「エネルギーに関する今後の重点施策(案)」が、経済産業省から示されました。
これによれば、「基本的な考え方」として、ゼロベースでの見直しなど5点を打ち出したうえで、後日示す電力システム改革、コージェネ普及、原子力政策を除く「12施策」を提示。この中でLPガスは、石油製品と一体的に論じられ、供給システムの再構築を急ぐよう提言する内容となっています。
今回取り上げた重点施策
(1)重点施策の基本的考え方
(2)省エネルギー対策の抜本的強化
(3)再生可能エネルギーの開発・利用の最大限の加速化
(4)化石燃料の有効利用
(5)天然ガスシフトに向けたインフラ整備
(6)石油製品・LPガスの供給システムの再構築
(7)安定的かつ安価な資源・燃料の確保
(8)水素エネルギー社会の実現
(9)需要サイドによる需給管理を行うスマートコミュニティの構築
(10)蓄電池の導入促進による市場創造と非常時でも安心な社会の構築
(11)革新的技術開発
(12)エネルギー・環境に関わる国際協力・国際展開、
(13)国民や地域との相互理解の促進
※電力システム改革、コージェネ普及策は本日議論を踏まえて検討、原子力政策は次回以降に議論。
今回取り上げた重点施策
- ・省エネ対策の抜本的強化:エネファームを2016年に自立化、家庭用への高効率給湯器の大幅普及、業務用でも高効率給湯器・高効率空調設備を拡大
- ・化石燃料の有効利用:分散型エネとして災害時の有効性を最大限発揮(災害時に活用可能な高効率利用機器の普及<都市ガスとの互換性向上を含む>)
- ・石油製品・LPガスの供給システムの再構築:災害時の安定供給体制の強化とともに、平時からの安定的需要も確保(LPガス基地・中核充填所等の災害対応力の強化、太平洋側大需要地等へのバックアップ能力の向上、学校等地域防災拠点の災害対応能力の強化<災害時に活用可能な高効率利用機器の普及、平時から安定的に利用する環境を整備)
詳細はこちら
→PDF「基本問題委員会」
住宅用火災警報器の推計普及率は77.5%(平成24年6月1日時点)
総務省、「維持管理の徹底」と「100%設置」を都道府県に要請
2012年08月
総務省消防庁は7月31日、平成24年6月1日時点での「住宅用火災警報器の設置状況」が、推計で77.5%になったと公表しました。前年同期より6.4ポイントの上昇。
住宅用火災警報器の設置は、既設住宅についても平成23年までに全ての自治体において条例で義務化されています。消防庁はこの結果を各都道府県に通知し、住宅用火災警報器の維持管理の重要性について注意を喚起するとともに、100%設置を目指すよう要請していくことにしています。
設置状況を地区別に見ると、近畿では80%台に達した一方、四国は設置が大きく進んだものの、まだ70%台に達していません。
【推計設置率】(H24.6.1 時点)
全国77.5%(前回比 +6.4ポイント)
区分 |
設置率 (%) |
前回比 (ポイント) |
区分 |
設置率 (%) |
前回比 (ポイント) |
|
北海道 |
78.8% | +6.3 | 近畿 |
80.2% | +8.7 | |
東北 |
77.6% | +8.1 | 中国 |
79.6% | +15.1 | |
関東 |
75.9% | +1.9 | 四国 |
69.4% | +11.2 | |
中部 |
78.6% | +7.1 | 九州 |
78.6% | +8.4 |
一方、都道府県別で見ると、福井県(90.2%)、宮城県(88.1%)、京都府(87.7%)の設置率が高く、茨城県(59.8%)、沖縄県(60.4%)、高知県(68.0%)が低い状況にあります。
詳細はこちら
→自治省消防庁HP(PDFファイルが開きます)」
料金審査専門委、「オール電化割引」などの撤廃を提言
東電、節電行動を促す料金メニューへと見直し設定
2012年08月
東京電力の電気料金改定は、経済産業省・総合資源エネルギー調査会の総合部会におかれている「電気料金審査専門委員会」での査定に加え、その後の政府・経済産業省内での調整を経て、当初の値上げ幅10.28%を8.46%に圧縮し、7月25日付で認可となりました。東電の本格的な値上げは1980年以来、32年ぶり。平均単価(1kWhあたり)はこれまでの23.34円から25.31円へと1.97円上昇し、標準家庭(月間使用量290kWh)の月額料金は7,332円へと359円高くなります。実施時期は、9月1日。
一方、電気料金審査専門委員会は7月5日にまとめた査定方針案で、平均10.28%の値上げ申請を9%台前半へと圧縮すべきであるとしたほか、選択約款(料金メニュー)にも言及。「使用機器の条件を撤廃し、広く需要家が選択できるようにすべきである」と提言しました。
東京電力ではこれに対し、「ピーク時の節電行動にインセンティブを与える料金メニューへと見直していく」と表明。これにより、エコキュートや電温の設置を条件とした「電化上手」(季節別時間帯別電灯料金)、オール電化を条件とした「全電化住宅割引」などは撤廃。今後は節電行動を促す料金メニューのラインナップが進む動きにあります。
専門委「査定方針」案の選択約款部分
次の選択約款は、需要家の多様な選択肢を確保することや、加入要件の公平性の観点から改善が必要。廃止に当たっては、適用を受けている需要家などに配慮するとともに、十分な周知期間が必要。
(1)ピーク抑制型季節別時間帯別電灯「ピークシフトプラン」
比較的使用量の多い需要家向けなのに、一般家庭にメリットがあると誤解を与えており、分かりやすい広報が必要。また、比較的使用量のない需要家がピークシフトを行ったときにメリットを受けられる方策を、料金メニューとは別に用意すべき。
(2)季節別時間帯別電灯「夜間畜熱機器要件」「オール電化割引」
夜間蓄熱式機器やオフピーク蓄熱式電気温水器などの使用が条件となっており、これらによりピークシフトの蓋然性が高くなることは事実。だが、個別機器に係る効果を合理的に評価できない以上は機器要件を撤廃し、時間帯別電灯「夜間8時間型」同様に広く需要家が選択できるようにすべき。
(3)5時間通電機器割引
東京電力は、利用需要家が頭打ちなので新規加入を停止するとしている。割引対象となる「通電制御型夜間蓄熱式機器」への改造には一定の時間を要すること、需要家への十分な周知期間が必要であることを踏まえて対応すべき。
東京電力表明(第8回専門委)
スマートメーターの本格導入に伴い、家庭でのピーク時の節電にインセンティブを与える料金メニューをきめ細かく設定するなど、メニューのラインアップを検討していく。
ノーリツ、自社ブランド「エコウィル」発売
太陽光+太陽熱利用「ダブルソーラー」も発売へ
2012年08月
(株)ノーリツは8月1日、「ガス発電・給湯暖房システム」(1kWガスエンジンコージェネシステム「エコウィル」)を発売しました。また、8月21日には太陽光発電と太陽熱利用を組み合わせて給湯・暖房・発電を行う「ダブルソーラー」を発売します。
エコウィルは、本田技研工業(株)が開発した発電ユニットと、ノーリツが生産してきた排熱回収ユニットをパッケージ商品として取り扱い、自社ブランドで販売していきます。10年間保証と定期点検を担うことで取扱先を拡大し、節電貢献商品として販促するとともに、自社の太陽光発電システム「PVMDシリーズ」とセット化し、創エネと省エネを実現する「ダブル発電」も提案していくとしています。
一方、「ダブルソーラー」は、「PVMDシリーズ」と太陽熱利用システム「XF」をセット化した商品で、一つのリモコンで電気、ガス、お湯の使用状況をリアルタイムで確認できます。
詳細はこちら
→(株)ノーリツHP(PDFファイルが開きます)
旧松下電器・三洋電機製の旧型湯沸器の取替促進に協力を
2012年06月
一般社団法人全国LPガス協会は2012年5月11日付で、直接会員と各都道府県LPガス協会に、パナソニック(旧松下電器製と三洋電機製)が製造した「ガス燃焼機器」の取り替えを促進するよう協力を要請しました。対象となるガス燃焼機器は、旧両社が製造した不完全燃焼防止装置無しの「ガス小型湯沸器」と「金網式ガスストーブ」。旧松下電器製については2007年7月から取り替えが進められていましたが、2012年2月に対象機種による死亡事故が発生。このため、パナソニックから改めて協力依頼があり、今後はパナソニックに吸収合併された三洋電機製を含めて取り替えを進めることになったものです。対象機器を他メーカー製に取り替えた事業者には、所定の申請をすることで、パナソニックより1件あたり5,000円の取替手数料が支払われます。
流出容器対策は、事業者、団体、自治体の協力体制がカギ
高圧ガス部会が「高圧ガス設備の地震・津波対策」を提言
2012年05月
原子力安全・保安院は4月27日、総合資源エネルギー調査会・高圧ガス部会がとりまとめた報告書「高圧ガス施設等の地震・津波対策について」を公表しました。 昨年3月の東北地方太平洋沖地震では、一部の高圧ガス設備で火災・爆発が発生したほか、津波・浸水により様々な高圧ガス設備や容器の損壊、流出が発生しました。部会ではこれらの被害を詳細に調査・分析のうえ、今後の地震・津波対策のあり方について提言をしています。 地震対策では、球形貯槽のブレース(脚部の筋交い)の補強や、対応が遅れている既存設備の適合状況の事業者自身による公表、液状化対策の実施などを提唱。津波対策では、事業者、関係団体、自治体との連携による流出容器対策の確立を提唱しています。
事業所内での人命保護態勢のルール化を
報告書のうち、販売事業者関連のポイント(流出容器対策)は次のとおり。
- 事業者は、容器及びローリーの事業所外への流出を最低限にするため、判断基準、権限、手順等を危害予防規程に基づき規定する。
- ●容器流出の防止に向け、容器の形、大きさに応じた最適な方法につき、関係団体ごとにガイドラインを策定し普及させる。
- ●流出容器の回収など
- ・所有者が回収の責任を持つが、個々の事業者では回収が困難な場合もあることから、自治体と関係団体が連携して回収協力体制を構築することが望ましい。
- ・事業者は、回収協力体制が構築された場合の参加を含めた対応方針を危害予防規程に基づき規定する。
- ・自治体は、流出容器への対処方法を津波発生後に迅速に周知する。
- ●事業者は、事業所内の人命を保護するための対策を実施する(情報伝達、避難方法等のルール化、定期的な訓練)。
- ●設備が波力、浮力及び漂流物により受ける影響を評価するための手法を、新たに検討する。
東日本大震災を踏まえた高圧ガス施設等の地震・津波対策の報告書 はこちら
→METI/経済産業省ホームページへリンクします
期限管理、リスク管理、未使用ガス栓の誤開放防止、自然災害対策などの徹底を
2012年04月
原子力安全・保安院は3月30日、平成24年度「液化石油ガス販売事業等保安対策指針」を公表しました。それによれば、調整器の期限管理、本社‐営業所間の意思疎通、CO中毒事故の防止対策、閉栓カバー設置促進や、調査が困難な消費設備対策の徹底などを特に要請しています。
●基本方針
○法令遵守の徹底
○組織内のリスク管理の徹底
○事故防止対策(業務用施設等におけるCO中毒事故の防止・一般消費者等に起因する事故の防止・LPガス販売事業者等に起因する事故の防止)
○自然災害対策
●平成23年の事故や法令違反の実態を踏まえた結果によるもの
○調整器等の期限管理の徹底
○本社と事業所・営業所の意思疎通の強化
○誤開放防止策としての閉栓カバーの設置促進
○リコール対象製品等への対応強化
○業務用施設におけるCO中毒事故の防止対策
●少子化・高齢化などの社会経済情勢や業界を巡る状況を踏まえて追加するもの
○ガス警報器の設置の促進
○消費設備の調査拒否及び改善未実施の対策
●法令等の運用に係るもの
○山小屋等への質量販売に係る特則承認の履行と着実な保安確保
●自然災害対策
○液化石油ガス部会で取りまとめた対応策の実現に向けた取り組み
○仮設住宅における保安の特段の注意
東日本大震災を踏まえた高圧ガス施設等の地震・津波対策の報告書 はこちら
→PDF「平成24年度液化石油ガス販売事業者等保安対策指針」1.1MB
液化石油ガス部会、報告書で「14の対応策」を提示
2012年04月
経済産業省は、3月15日に開催した総合資源エネルギー調査会・液化石油ガス部会で「東日本大震災を踏まえた今後の液化石油ガス保安の在り方について~真に災害に強いLPガスの確立に向けて~」を検討し、その結果を同29日に「報告書」として公表しました。
報告書は、東日本大震災でLPガスが災害に強いことが確認・立証された一方で、情報収集・発信、被災後の復旧、設備・機器の対応面で課題や教訓も浮上したと指摘。それらの解決に向けた方向性とともに、「14の対応策」を提示しています。
資源エネルギー庁の「東日本大震災を踏まえた今後のLPガス安定供給の在り方に関する検討会」が3月7日に公表した「最終報告書」との整合化が図られ、部会報告はうち保安対策に特化した内容となっていますが、新たに(1)鎖がけ・ベルトがけの上下二重化、(2)ガス放出防止器の導入促進、(3)「LPガス消費者地震対策マニュアル」の見直しなどを盛り込んでいることがポイントとなっています。
液化石油ガス部会「報告書の概要」は次の通り。
●災害に強いLPガス
○津波により多数のLPガス容器の流出や地震による微少漏えいなどは発生したものの、LPガス分野で大きな二次災害はなく、安全に、他のエネルギーに比べて比較的早い復旧が達成された。
○いわゆる「軒下在庫」による住宅等での使用継続、分散型エネルギーの特長を生かした避難所等での活用など、「災害に強いLPガス」が実証された。
●「14の対応策」(課題・教訓と、その解決に向けた対応の方向性)
○情報収集・発信体制の整備
1 日液協ルート等の追加
2 把握する情報の内容やタイミングの見直し
○被災後の復旧対応
・通信網の遮断及び停電
3 中核充てん所の整備
・点検・調査
4 企業の枠を超えた点検・調査の推進
5 車両の稼働の確保
・協力体制
6 防災協定等の見直し
7 災害対応のための関係機関による中央連絡会議の設置等
・顧客の保安データ等の確保(平時からの顧客のデータの管理方法を例示)
○設備・機器面における対応
・地震及び津波による被害の設備・機器による防止
8 段階1:地震及び津波による一次的な物理的被害の防止
9 段階2:LPガス容器からのガスの漏えい・放出の防止
・流出LPガス容器の回収
10 流出LPガス容器の回収体制の構築
・マイコンメーターの復帰
11 マイコンメーターの復帰対応など正確な情報の普及
○その他
12 「LPガス消費者地震対策マニュアル」等の見直し
13 震災対応のコアとなる人材の育成
14 震災対策に資する安全技術の開発、指針の策定等
東日本大震災を踏まえた高圧ガス施設等の地震・津波対策の報告書 はこちら
→PDF「東日本大震災を踏まえた今後の液化石油ガス保安の在り方について」 1.2MB
平成23年のLPガス事故数は、雪害多発などで226件へ増加
2012年04月
原子力安全・保安院液化石油ガス保安課が3月15日開催の総合資源エネルギー調査会・液化石油ガス部会に報告した平成23年の「LPガス一般消費者事故集計表」(速報ベース)によれば、事故発生数は前年より22件多い226件となり、2年連続で増えました。「雪害等の自然災害」が53件(前年7件)も発生したことが大きな要因です。
これらの事故による人的被害は死者2人(5人)、負傷者90人(83人)。このうち、B級事故は4件(6件)起き、死者2人(5人)、傷者17人(10人)が出ています。
また、うちCO中毒事故は10件<うち3件はB級事故>(8件<3件>)発生し、死者1人(3人)、症者32人(16人)となっています。
「原因別」では、「一般消費者等起因」が65件(前年83件)に減り、「LPガス販売事業者起因」が41件(33件)へ増加。ほか「一般消費者等・LPガス販売事業者等起因」11件(7件)、「その他の事業者起因」16件(31件)、「雪害等自然災害」53件(7件)などとなっています。
「場所別」では、一般住宅79件(前年75件)、共同住宅60件(56件)、飲食店27件(25件)、学校7件(10件)、旅館4件(2件)など。
また、「発生個所別」では供給設備が99件(69件)へ増え、消費設備が125件(131件)へ減少しました。内訳で増減が目立つのは、供給設備側は容器・容器バルブ8件(12件)、調整器28件(9件)、高圧ホース・集合装置・メーター20件(15件)、消費機器側は配管29件(15件)、金属フレキ管・低圧ホース・ゴム管18件(27件)、こんろ6件(11件)、瞬間湯沸器11件(6件)、ふろがま16件(22件)、ストーブ1件(5件)などです。